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ウィンナーや牛肉で大腸がんに!WHOが「加工肉」と「赤肉」の発がんリスクを評価

      2015/12/04

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「加工肉や赤肉は大腸がんを引き起こす危険性大!」

去る10月末、こんな衝撃的な?ニュースがTVや新聞やネットで飛び交いました。
世界保健機関 (WHO) の外部組織である国際がん研究機関 (IARC) が、加工肉や赤肉の摂取が大腸がんの原因になると結論し、発がん性分類グループに正式に指定したのです。

※ 加工肉 (ウィンナー・ハム・ベーコン等) や赤肉 (牛肉・豚肉) の摂取は、多くなればなるほど確実に大腸がん胃がんのリスクを高めます。
肉を食べることによる大腸がんと胃がんの発症メカニズムについては、↓↓↓以下の記事をご覧ください。
大腸がんも胃がんも予防可能!原因は食事。ガンの仕組みを分かりやすく説明します

特に、ウィンナーやソーセージといった加工肉を、人に対してほぼ確実に発がん性を持つものとして「グループ1」に指定したというニュースは、日本のみならず世界各国を騒然とさせたようです。

WHO(IARC)が発表した内容

農林水産省ホームページより引用します。

 IARCの発表の概要(2015年10月26日) 10月26日、世界保健機関(WHO)の研究機関である国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer : IARC)は、レッドミート及び加工肉の摂取が大腸がんの原因になるとし、レッドミートを「グループ2A」(人に対しておそらく発がん性がある)に、加工肉を「グループ1」(人に対して発がん性がある)に分類するとプレスリリースしました。

 

「加工肉」「赤肉」とは具体的にどんな肉を指す?

「レッドミート (red meat)」とは、今回の発表におけるIARCの定義では「牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、山羊肉など全ての哺乳動物の肉」とのこと。

日本の多くのメディアでは「赤肉」と訳されています。
海外では一般的にも、牛肉や羊肉などいわゆる「獣肉」の意味で使われており、牛肉ならばたとえ白っぽい霜振り肉でも「レッドミート=赤肉」です。

日本語で「脂肪の少ない赤い部分の肉」を指す「赤身肉」は、英語では ”lean meat” と呼ばれますので、「赤肉」とは意味が異なります。

そして加工肉とは「塩漬け、塩せき、発酵、燻煙、その他香りや保存性を高めるための加工をした肉」を指すそうです。

具体的には、ハム、ベーコン、フランクフルト、ソーセージ、コンビーフ、ビーフジャーキーから肉の缶詰、肉をベースにしたソースまで、私たちの身近に普通に見られるあらゆる肉の加工品が含まれるようです。

IARCは、特に欧米でよく食されるウィンナーなど燻製品や、塩で味付けしたもの、保存料を加えたもの等を主に念頭に置いているようです。

けれども、日本でよく使われる「成型肉」「牛脂注入肉」「インジェクション加工肉」と呼ばれるものも、脂肪を人為的に注入するという点では“加工肉”の範疇に入れて考えてよいのではないかと私は思います。

後ほど別記事で触れますが、“脂肪”はガンを始めさまざまな病変を人体に引き起こす有力要因の一つだからです。

→<参考リンク「動物性脂肪が発がんリスクを高めるわけ」>

「加工肉」はかなり発がん性の“確証”が強いとIARCは見ている

IARCがまとめる発がんリスク評価において、

・加工肉は「グループ1」
・赤肉は「グループ 2A」

に指定されたとのこと。

ここで、IARCの発がんリスク評価のグループ分けについて、簡単に説明しておきます。

まずIARCは、発がんのメカニズム、疫学、予防などを研究する組織として設立されており、発がん性評価に当たっては、世界各国から20~30名の専門家をワーキンググループメンバーとして選定し、このワーキンググループが世界中の膨大な関連科学論文を精査して検討します。

この精査に用いられる科学論文は、

  ① 人を対象にした疫学的研究のデータ
   (一定の地域や集団に属する人々の、食や生活のスタイルと発がん状況を比較する等)

  ② 動物実験によるデータ

主にこの2つに分けられます。

そして例えば、「②において、実験動物の発がん性を示す信憑性の高いデータが十分にある」が、「①において、ヒトへの発がんとの相関関係は見られるものの、研究のやり方に問題があるなど限られたデータしか得られない」このような場合は「ヒトへの発がん性を示す証拠は限定的だが、動物への発がん性に対しては十分な証拠がある」と見なされ、グループ2Aに分類されます。
※ あくまでも一つの事例です。他のパターンも考えられます。

最終的には、次の5段階のうちのいずれかに指定されます。

グループ 1 ヒトに対して発がん性がある (be) 
グループ 2A ヒトに対して恐らく発がん性がある (probably)
グループ 2B ヒトに対する発がん性が疑われる (possibly)
グループ 3 ヒトに対する発がん性を分類できない
グループ 4 ヒトに対して恐らく発がん性はない (probably not)

IARCの発がんリスク分類については、こちらのページが分かりやすいので参考にしてください。
  電磁界情報センター「国際がん研究機関(IARC)」

これまでIARCが評価してきた800以上のさまざまな化学物質類が、この5つのグループのいずれかに分類されているそうです。

そして今回の「加工肉」と「赤肉」の指定について、メディアや業界関係者、他の栄養学の専門家などが特に疑問視しているのが、グループ1に指定された加工肉。

実は、この“グループ1”に既に分類されているものとしては「アスベスト」「煙草の喫煙」「ダイオキシン」「紫外線」「排ガス」等、いかにも恐ろしげな物質や環境が数あります。
このような明らかに危険度の高い化学物質と「加工肉」を同じ次元で扱うのはあまりにも不適切でないか…? という議論が起こっているのです。

けれども、誤解なきように。
このIARCの発がん性評価は、発がんリスクの「大きさ」ではなく「科学的根拠の強さ」を表わしたもの。

私たちは何となく、現代は最も文明の進化した時代であり、自然界の様々な謎も多くが解明され、とりわけ科学や医学に関しては専門家たちが優れた知識を網羅しているはずなので、彼らに尋ねれば分からないことなど全くないかのように思い込んでいますよね?

どこか体調がおかしくなっても、すぐに病院に行けば、賢いお医者さんがその場で即座に診断を下して、どうすればよいかを寸分の間違いもなく教えてくれそうな気がする(笑)

だから逆に、「誤診」などというものが判明すれば「医者のクセに間違うとは何事だ!」と火がついたように怒り出したくなるんでしょうね(^^;)

話が横道に逸れてしまいましたが、現実はそうでもなくて、実は専門家でもよく分からないことがこの世界にはまだまだたくさん存在しているということ。

特に「ガン」というのは、世界的に見ても、ここ百数十年の間に急速に広まった (しかも近代産業の発達した先進諸国のみ) 典型的な“現代病”であり、そのメカニズムや作用する物質についても、最先端の医学的知見を以てしてもまだまだ解明されていない領域がほとんどなのです。

そんな中、発がん性有りとされる物質のリスクの大きさも、想像できなくもないものもままありますが、まずは確かな科学的根拠をもって「発がん性があるのかどうか」を特定するのが精一杯、現代はまだその段階なのです (しかも世界最高峰の叡智を誇る、世界的権威と呼ばれる専門家たちによってさえも…です)。

この世に存在する化学物質は500万種類以上と言われます。
その中で、人体への有害性が科学的に明らかで使用禁止とされている物質は、ほんの100種類程度。

そしてIARCは、年中必死にワーキンググループを定めて絶え間なく精査を行いますが、それでもグループ分けにこぎつけることのできる物質は、年間でわずかに100種類程度。
つまり、10年かかって1000種類、100年かけても1万種類しか特定できない状態です。

何とも気の遠い話ですね(汗)。

それはそうとして、今回「加工肉」が分類された“グループ1”とは、

「人体に対して明らかに発がん性がある」

とされるもの。

この科学的根拠の強さとしては

「ヒトへの発がん性を示す十分な証拠がある場合」

すなわち、疫学調査などで人の発がんとの相関関係をはっきり示す信憑性の高いデータが多数存在するなど、人体への発がん性が確実と考えられる場合に、グループ1に分類されます。

また「赤肉」が分類された“グループ2A”は、

「人体に対して恐らく発がん性がある」 とされ、

その根拠の強さとしては

「ヒトへの発がん性を示す証拠は限定的であるが、動物への発がん性に対して十分な証拠がある場合」

となっています。

つまり、人の発がんとの相関については限られたデータしかないが、動物実験によって発がんが明らかとなっている。 そのようなものがグループ2に分類されます。

従って、同じグループ1でも、加工肉が煙草やアスベストと同じくらいに発がんリスクが大きい…というわけではありません。
あくまでも、「発がん性がある」とはっきり言える確証度の度合いが等しい…ということですね。

この点は、よく知られている大きなメディアでさえも誤解して報道しているケースがあるので、注意してくださいね。

加工肉や赤肉の発がんリスクは、大きい? 小さい?

では、

「これら食肉類の発がんリスクそのものは、実は大したことないのではないか…?」 

と思わず期待したくなりますよね(^^;)

結論を言えば、煙草の喫煙やアルコールの過剰摂取に比べれば、それほどに大きくはないようです。

統計を見ると、

・煙草の喫煙によるガン死亡者は、世界で約100万人
・アルコール摂取によるガン死亡者は、約60万人。
・大気汚染によるものは、約20万人

それに対して、加工肉の過剰摂取によるガン死亡者は、約3万4000人と言われます。

この数字を見る限りでは、同じグループ1である煙草やアルコールと同じくらいに加工肉の発がんリスクが大きいとは言えないでしょう。

しかしそれでも、逆にあえて「加工肉」という現代の食生活に身近な食物をグループ1、即ち明確に発がん性があると断言できる物質として指定したIARCには、加工肉の発がん性に対する危機感が非常に強いと言わざるを得ませんね。

今回、報告書の説明を行ったIARCの専門医クルト・シュトライフ氏は「個々人が加工肉の摂取で大腸がんにかかるリスクは未だに小さい」としながらも「肉の摂取量が増えるにつれて、がんになるリスクも高くなる」と述べています。

実際、IARCの報告書によると、

加工肉を毎日50g食べ続けると、発がんリスクが18%アップする。
赤肉を毎日100g食べ続けると、発がんリスクが17%アップする。

とあります。

加工肉50gと言えば、普通に売られているウィンナーやソーセージで2~3本、ハムやベーコンではおよそ3~4枚にあたりますね。
日本人ではこれほどに毎日ウィンナーやハムを食べている人は少ないでしょうが、欧米ではむしろ食べて当たり前の量かもしれません。

それに、たとえ日本人であっても、ファストフードやコンビニのお惣菜を常食するライフスタイルの方も中にはおられるでしょう。
朝食に食パンとハムエッグ、昼食にホットドッグかサンドイッチ、そして夕食にコンビニの幕の内弁当 (ウィンナー入り) でも食べれば、1日に加工肉50gは軽く超えそうですね(^^;)

加工肉や赤肉の発がんリスクは、実はかなり以前から、各国の他の研究機関からも多く指摘されてきました。

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例えば「PCRM」というベジタリアン推奨団体は「ホットドッグ1本で煙草1本分の発がんリスクがある」という研究結果を発表。

また「世界がん研究機関」や「米国がん研究機関」も「毎日一つホットドッグを食べると、大腸がんリスクが21%アップする」として、加工肉による大腸がんの危険を訴えました。

そして今回の、WHOの外部機関であるIARCのこの発表。

「現代の食生活を覆しかねない衝撃的なニュース」とのメディアの声も聞かれますが、実はそうではなくて、健康な食生活に以前から留意していろいろ学んできた者にとっては常識の範囲。

むしろ「なぜこんな当たり前のことを今さら…?」というのが率直な印象です。

けれども、IARCとしても決して今まで無責任に野放しにしていたわけではなく、世界の食肉業界団体の抵抗や圧力も必至の状況で、慎重に確実に科学的根拠を積み重ねた上で、世界的に大腸がんの患者が増え続けている中、これ以上放ってはおけないという現段階ぎりぎりのタイミングで、満を持して、という言い方は変ですがようやく発がん物質への正式な指定に至った…というのが現状のようです。

このIARCの勇気ある?報告を無駄にせずに、ぜひ一人でも多くの方が肉食を減らすよう心掛けていただきたいと願っております。

ちなみに私の家では、普段の動物性たんぱく源としては魚料理しか用意しません。
主に焼き魚、煮魚、酢漬けなど。
ムニエルやフライもしません。格段にカロリーが高くなりますからね(^^;)

加工肉や赤肉は、どんなガンに関係あるの?

IARCの発表によると、加工肉は特に大腸がんと胃がん、赤肉は大腸がんの他、膵臓がんや前立腺がんに関わりがあるということです。

膵臓(スイゾウ)は、膵液(スイエキ)という消化液を分泌する器官、そして前立腺は、男性の生殖器官の一つです。
肉食は、前立腺がんは別として、主に消化器系の内臓ガンに関わるということですね。

ちなみに牛乳や乳製品 (食肉同様、動物性たんぱく質と脂肪を含む) の摂りすぎは、女性の乳がんや子宮がんの発生と深く関わりがあります。
動物性食品全般が、消化器系のみでなく生殖器系にも悪影響を及ぼすということなのかもしれません。

次の記事では、

●この発表によるWHOの狙いは何か? 
 現代の食生活について、最終的にWHOが訴えたいことは何か?

これについてまとめてあります。
次の記事:もうお肉は一切食べられない…?「加工肉は発がん物質」WHOの本意

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