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トレハロースとは…日持ち効果のある食品添加物。危険は低いがカロリーは低くない

      2015/10/06

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市販のパン類にも「トレハロース」という原材料の表示をよく見かけます。
このトレハロースとは一体どんな添加物なのか? 大いに気になるところです。
危険はないのか、カロリーは低いのか?
そもそもこれを加えることで、食品にどんな効果があるのか?

この記事では、トレハロースという食品添加物について詳しく解説します。

※ついでですが、トレハロースを開発した日本の食品・バイオメーカー「林原」の開発秘話についても記事にしました。
もしも興味がありましたら、ご一読ください。
「トレハ」を生んだ(株)林原の開発秘話…がトレハロースを美化する?

 

トレハロースとはそもそも何?

トレハロースは、天然由来の食品添加物です。
砂糖やブドウ糖と同じように糖類の一種ですが、甘さは砂糖の45%と控え目なので、甘味料としては使われません。
むしろ、食品の新鮮さを保ったり、食材のいい香りや味を引き立てたりする等の効果に優れ、効率的に食品を加工する上でのメリットが大きいので、“製造用剤”として扱われています。

※製造用剤:食品添加物の用途名の1つで、食品を製造する際にその食品を効率よくつくるために用いられるもの。
用途が多岐に渡り、ある一つの用途名に分類するのが難しいもの等も「製造用剤」とされる。
具体的な事例は、こちらのリンク先に詳しいです。
「食品衛生の窓」東京都福祉保健局-用途別 主な食品添加物『17 製造用剤等』

 

具体的にどんな物質かというと、ブドウ糖(グルコース)の2つの分子が結合した二糖類にあたります。
麦芽糖(マルトース)も、同様にグルコース2分子の結合体です。
天然の二糖類としては、他にも砂糖=ショ糖(スクロース)や乳糖(ラクトース)があります。

 

自然界でも不思議な働きをするトレハロース

トレハロースは、植物や動物、昆虫の体内など、自然界のあらゆる場所に存在します。
身近なところでは、キノコ類や酵母に特に多く見られ、食品としてはビールや食パンやひじきに含まれています。

砂漠に生息する微小動物のクマムシ、植物のイソヒバなどは、体内にトレハロースを多く有しています。
また、バッタなどの昆虫も、体内にトレハロースを蓄え、必要に応じてブドウ糖に還元してエネルギーを得ているようです

トレハロースは、細胞やタンパク質を凍結や乾燥から守る働きがあり、特に寒冷地域や乾燥地帯など厳しい気候の下に過ごす生物にとっては、大変ありがたい成分です。

砂漠に住むイワヒバやクマムシは、水分のない環境で何年間も干からびて仮死状態にあっても、水分を一滴加えれば生き生きとよみがえると言います。

干ししいたけが水につければ元に戻るのも、ドライ酵母に水を加えれば生きた酵母として立派にパンを発酵させるのも、このトレハロースのおかげだと言われています。

これらの不思議な働きから「復活の糖」と呼ばれることもあります。

 

トレハロースの製法

デンプンに2種類の酵素を反応させ、トレハロースを結晶化し、精製して取り出します。

ごく大ざっぱに説明しますと…。

デンプンは、グルコース分子が多数結合した構造をしていますが、末端にマルトース(麦芽糖)分子を持っています。
前述したように、マルトースはグルコース分子が2つ結合したものです。
トレハロースも、構造は異なりますが同じくグルコース2分子の結合体です。

そこで、まず1つ目の酵素を加え、マルトース分子の一部を置換してトレハロースの分子構造に変えます。
そして2つ目として、このトレハロースの部分をデンプンから切り離す酵素を加えます。
この作業を繰り返すと、切り離されたトレハロースが結晶化し、精製して白い粉末として取り出すことができます。

この製法によって、以前の発酵法では1kgあたり数万円という高価格であったトレハロースが、一気に大量生産できるようになり、あっという間に普及してさまざまな食品加工に使用されるようになりました。

現在では、かつての価格の100分の1程度となり、例えばある楽天ショップでは約500円(1kg)で販売されています。

 

トレハロースの用途・効果とは?

糖類なので、時には甘みを出すためにも使われなくはないですが、甘味は砂糖の約40%と低めです。
むしろ、それ以外に優れた多彩な機能を持ち、食品加工に大変重宝するようです。

主なものを挙げただけでも、

●炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素を劣化から守り、保存性を高めることができる。

●保水力が高く、乾燥や凍結(冷凍保存)のストレスから食品を守り、しっとりした食感を保つことができる。


●食品の味や臭いを引き立てたり抑えたりする“矯味・矯臭”の効果がある。

例えば、野菜の青臭さ、魚の生臭さ、レトルト食品の加工臭を抑えたり、逆にしょう油の塩味、レモン果汁の酸味、カレーの辛味などを引き立てることができるそうです。

●砂糖や他の糖類よりも結晶化・ガラス化(固定化)しやすく、スイーツ系の食品を安定化させることができる。

というように効果は多岐に及び、和洋菓子類やパン、食肉加工品や練り物、レトルト食品や惣菜、飲料まで、ありとあらゆる加工食品に用いられます。

特に菓子類やパンの製造に関して言えば、使われる糖類の種類と量が、単に食品の甘味だけでなく、食品成分の組織構造に深く関わり、スポンジケーキやパン生地の硬さ、弾力性、そして焼き上がりの歯応え、口当たり等を決定し、食品の安定性も左右します。

一般的に、日本人は抑えられた上品な甘味を好むと言われますが、これに合わせて菓子やパンに配合する砂糖の量を減らしてしまうと、スポンジケーキだと保湿性を失ってパサパサする、パン生地だと発酵がはかどらないなど、食品としての安定性を損ねる恐れがあります。

しかし、砂糖でなくトレハロースであれば、元々甘味が低いので、糖質の量を減らすことなく甘さだけを抑えることができ、安定した食品づくりが可能です。

 

では、果たしてトレハロースの安全性は?

トレハロースという物質自体は、麦芽糖に近い天然の糖類ですので、人体への安全性については問題はあまりないと思われます。

ただし、原料であるデンプンには遺伝子組み換え作物が使われているので、できれば避けたほうがよい添加物であることには変わりありません。

実際、私がネットで検索した市販のトレハロースの表示には、いずれも「トウモロコシ(遺伝子を組み換え不分別)」との記載がありました。

先述したように、林原というメーカーが独占的に製造しているので、国内の全てのトレハロースが同様であると思われます。

他に選択肢がない場合はやむを得ませんが、なるべくなら摂取しないようにしたいところです。

なぜ遺伝子組み換え作物が危ないのか…の理由を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
→<参考リンク「遺伝子組み換え作物の危険性」>

 

家庭でのお菓子作りや料理には、昔ながらの調味料を使いましょう

家庭での料理や菓子作りには、このような食品添加物はいかなるものであろうとお勧めしたくありません。

やはり伝統的に“食品”としての地位を確立し、普通の家庭の台所にあっておかしくない「砂糖」や「ハチミツ」を控え目に使い、たとえ出来上がりにムラがあっても、魔法の力に頼らぬ“手作りの母の味”を子供たちに教えてあげたほうがよいのではないでしょうか。

ともかく、食品加工においては上記のようなさまざまな効果を求めて使用されていますが、一番の大きな目的はやはり「食品の作りたてをそのまま保持する」というところにあるのでしょう。

実際、ネット上で販売されている業務用の日持ち向上製剤にも、グリシンやグリセリン脂肪酸エステルとともにこのトレハロースを配合している商品を多く見かけます。

 

糖尿病などカロリー低減のため、砂糖の代わりに使用できるか?

トレハロースは、砂糖や麦芽糖と同じくれっきとした糖類であり、キシリトールやソルビトール、エリスリトールなどの“糖アルコール”とは違います。

糖アルコールは消化されにくいので、カロリーオフ商品によく利用されたりしますが、トレハロースは、ヒトの小腸内に存在する“トレハラーゼ”という酵素によってブドウ糖に分解され、体内に吸収されます。

カロリー値は砂糖と同じ約 4kg/g、血糖値も砂糖なみに上昇するので、低カロリーを目指した砂糖代替甘味料としては使用できません。

特に糖尿病やダイエット中の方は、注意してくださいね。

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