海外の日本食ブームについて―本当に「ヘルシー」なの?
2013/10/29
“日本食”は、とりあえず世界に認められ始めたようです
近頃、海外で“日本食”がもてはやされていると聞きます。
1970年代中頃、アメリカ人の健康志向が高まり、それまで日本人駐在員や日系人の客層に限られていた日本食レストランに、アメリカ人の主に高所得者層が足を運ぶようになりました。
これが、現在欧米諸国で隆盛する“日本食ブーム”の発端だと言われています。
その後、1977年に連邦政府の食生活改善指導(マクガバンレポート)が出され、脂肪やコレステロールの摂取を控え、たんぱく質や炭水化物の摂取を進め、栄養バランスの取れた食事を心がけるという内容が、まさに日系人たちの食事に合致するということで、日本食が一般のアメリカ国民からも広く注目されるようになったと考えられます。
そして、日本食ブームはヨーロッパにも飛び火し、やがて海外の各地に浸透していきました。
“日本食”を称揚する外国人。でも、その実情は…?
しかし、実際に海外の日本食専門レストランを覗いてみても、そこのメニューは、寿司を始め、天ぷらや焼き鳥、鉄板焼き、ラーメン、カレーライス、オムレツなどが主流を占め、純粋な日本の伝統食というよりは、高度経済成長期以後に日本に普及した“和洋折衷料理”であることが多いのです。
寿司は確かに日本の伝統食ではありますが、生魚を贅沢に切り捌いて小さな寿司ネタの上にどんと乗せた食べ物は、日常の家庭料理というよりはむしろ高級料理の感が強いのではないでしょうか。もちろん美味しさは天下一品ですが、毎日食べていては、懐も健康も保ちません。
けれども現実には、上記のような、私たち日本人の感覚では「ヘルシー」とは少しかけ離れた献立が、海外人には「健康的な日本食」というイメージで浸透しているのかもしれません。
では、本当に健康的と言える“日本の伝統食”とは、一体どのようなものなのでしょうか。