【発酵食品王国・日本】漬物のススメ②~乳酸菌で腸をきれいに
2015/05/21
もくじ
まずは腸をきれいにしよう
あなたの健康を考えるに当たって見逃せないのは、何といっても腸内環境です。
人間の腸内には、
●乳酸菌・ビフィズス菌・腸球菌などの「善玉菌」 ●大腸菌、ブドウ球菌、ウェルシュ菌などの「悪玉菌(腐敗菌)」 ●普段は特に有害でも無害でもない「日和見菌」 |
と呼ばれる細菌類が住んでいます。
これらをまとめて「腸内細菌」と呼びます。
この腸内細菌が、人間の身体の健康を大きく左右します。
食生活の乱れによって悪玉菌が増え、善玉菌がうまく働けなくなると、様々な体の不調を引き起こし、結果として、現在でも日本人の死因トップであるがん(癌)さえも引き起こすことがあるのです。
がん(癌)の原因は、腸内の悪玉菌です
動物性たんぱく質や脂質は消化が悪いので、摂取しすぎると大腸の中で消化しきれないまま腐敗が起こり、この“腐敗便”を悪玉菌が喜んでエサにするからです。
腐敗菌は、文字通り腸の中で腐敗を起こし、インドール、スカトール、アンモニア、硫化水素などの様々な有害物質を発生させます。
これらの有害物質により、腸の蠕動(ぜんどう)が妨げられ、便秘や腹痛の原因になります。
また腐敗菌は、動物性たんぱく質・脂質・コレステロールから、アミン・ニトロソアミン、二次胆汁酸などの発がん性物質をつくり出すことも分かってきました。
これらが体内に取り込まれ、がんやその他の生活習慣病を引き起こすのです。
日本人のがん死亡率は未だに高いものがありますが、その一つの主要因が、食生活の洋風化、すなわち肉や卵、乳製品などの摂取量の増加にあるものと見られています。
悪玉菌を撃退、腸内環境を整えてくれる善玉菌=乳酸菌
腸内を掃除してくれる善玉菌として最も有名なのが、乳酸菌とビフィズス菌でしょう。
ここでは、善玉菌のスーパースターと言われ、野菜の塩漬けやぬか漬けに多く含まれる、乳酸菌の働きを見てみます。
生きた乳酸菌の働き
元々腸内に生息する、生きた乳酸菌の働きは…
① 腸内で乳酸や酢酸などの有機酸を作り出して酸性度を高め、酸に苦手な腐敗菌を減少させる。
乳酸菌が便秘に効く、整腸作用があると言われているのは、悪玉菌を抑えてアンモニアなどの有毒ガスを減らし、腸の活発な蠕動を促すからなんですね。
② ビタミンを産出する。
乳酸菌は腸内でビタミンB群やビタミンKを生成することが分かっています。
ビタミンBは、炭水化物、脂肪、タンパク質の代謝を助けるのが主な役目ですが、その他にも、精神を安定させる、新しい髪や爪、皮膚などをつくる、体の免疫力を上げるなどの効能があり、近年特に注目されています。
またビタミンKには、血液の凝固を促進して出血を止める“止血のビタミン”としての働きの他に、カルシウムが骨に沈着するのを助け、骨の健康を維持する効能もあります。
死んだ乳酸菌の働き
体外から食品を通して摂取する、死んだ乳酸菌の働きは…
① 腸内に生息する善玉菌のエサとなり、これらを活性化・増殖させる。
結果として、腸内の生きた乳酸菌の働きを活発にし、上記と同様の効果をもたらします。
② 体の免疫力を高める。
マクロファージ(白血球の一種)は、血管内だけでなく体内の至る場所に存在していて、外から入ってきた菌を捕食し、サイトカインを分泌します。
サイトカインは、NK細胞やキラーT細胞など、がん細胞やウイルスを攻撃する細胞に異物が侵入したことを知らせ、これらを活性化する信号となります。
この作用が、発酵食品を食べて体に入る“死んだ乳酸菌”によっても引き起こされるため、結果としてがん細胞や病原菌に対する抵抗力が高まり、免疫力をアップさせるのです。
生きた or 死んだ乳酸菌、共通の働き
腸内に溜まった老廃物や過剰なコレステロールを吸着し、体外に排泄してくれます。
死んだ乳酸菌も、健康維持に役立っている!
たとえ乳酸菌を生きたまま食べ物と一緒に取り入れたとしても、胃や腸を通過する間にほとんどが死んでしまいます。
市販の健康食品の中には、乳酸菌が生きたまま腸に届くことを謳い文句にしているものもありますが、あまり現実的ではありませんし、必ずしも乳酸菌が生きている必要はありません。
上に述べたように、死んだ乳酸菌もちゃんとそれなりの働きをしてくれるからです。
乳酸菌だけに頼らず、バランスのよい食生活を
このブログのあちこちにも書きましたが、食生活において最も大事なのは“バランス”です。
「○○が体にいい」と聞いてそればかり食べていても、体の健康を維持することはできないのです。
いくら乳酸菌をたくさん体内に摂り入れても、一方で肉食中心の生活を続けていれば、悪玉菌の増殖を抑えることはできず、体調を崩してしまうでしょう。
肉や乳製品の摂取をなるべく控え、野菜を多く食べることによって、乳酸菌だけでなく食物繊維を摂ることができ、この食物繊維が乳酸菌のエサとなって活性化を促してくれます。
この、乳酸菌と食物繊維を同時に摂ることができるのが“ぬか漬け”という優秀な日本の伝統食品なんです(^o^)
→ 「【発酵食品王国・日本】漬物のススメ③~乳酸菌・ビタミン・ミネラルがいっぱい」
ヨーグルトや乳酸菌飲料は、むしろ控えめに
「乳酸菌と言えばヨーグルト!」
そう思ってよく食べている方も多いかもしれません。
けれどもこのブログでは、ヨーグルト等の乳製品はお勧めしていません。
近年、牛乳の健康神話に疑問を呈する諸説が、世界中で話題になっているからです。
『粗食のすすめ』などの著書がある幕内秀夫さんも、乳がんの患者には、牛乳・チーズ・ヨーグルト・アイスクリームなど乳製品を好んで摂る人が非常に多いことを指摘して、現代の洋風化された食生活に警告を発しておられます。
→《参考記事「牛乳は本当に身体にいいの?」》
また、市販のヨーグルト、あるいは「ヤ○ルト」等のいわゆる乳酸菌飲料と呼ばれる飲み物は、消費者に好まれるように多量の砂糖を加えてあるのが一般的です。
ヨーグルトも乳酸も、元来はとても酸っぱいものですから、それを甘くおいしく感じさせるだけの砂糖の量は相当のものであり、これらの市販品を日常的に買って食べたり飲んだりしていると、虫歯や糖尿病など、乳酸の効能よりも砂糖の害によるリスクのほうが高くなってしまいます。
さらに最近では、甘味があるにもかかわらず「砂糖なし」「カロリーゼロ」などと記載してある商品も見かけますが、これらには大抵、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなどの合成甘味料が使われています。
これらはいずれも化学合成物質であり、がんや脳腫瘍を起こす可能性が指摘されたり、分子構成の似た別の物質に大変危険なものが存在していたりと、未だに人体への安全性をはっきりとは確認できていません。
砂糖とは違った意味で、やはり避けたほうがよいでしょう。